ドラッグストア、洗剤の棚の前。
「どれも同じに
見える…」
みはるさん、今日も洗剤を買いに来た。

パッケージを見る。成分表を見る。
「どれも同じに見える…」
かえでは泥汚れが気になるし、あやめは香りに敏感だし。家族のことを考えると、余計に選べなくなる。
棚の前で10分。後ろから来た人に気を使って、とりあえず手に取ってみる。でも決められない。
「私、何してるんだろう…」
気づいたら、いつの間にか30分も経っていた。結局「売れてるやつ」を手に取る。
帰りの車の中で、助手席のエコバッグをちらっと見る。
「…まあ、使えればいいか」
そう思おうとするけど、なんだかモヤモヤする。
夕飯の支度をしながら、さとるさんに聞かれた。
「洗剤、買えた?」
「うん、まあ」
さとるさんはそれ以上聞いてこなかった。やさしさなのか、興味がないのか——よくわからなかった。
「また決められなかった…選ぶの、苦手なのかな」
そんな経験、ありませんか?
もし、「私もそうだ」と思ったなら、ひとつ、知っておいてほしいことがあります。
実は、洗剤の種類って、昔に比べてすごく増えてるんです。
粉末だけだった頃から、液体、ジェルボール、濃縮タイプ…パッと見ただけでも20種類、30種類。パッケージは色とりどりで、どれも「これがいい!」とアピールしてくる。

迷うのは、数のせいだけじゃありません。
みはるさんの場合は、さらに条件が重なっていました。かえでの泥汚れ、あやめの敏感肌、さとるさんの靴下のにおい…家族のことまで考えたら、もう何が正しいのかわからなくなる。
これ、「選択疲れ」って呼ばれてるんです。商品が多すぎて、脳が疲れちゃう。
「選べない自分がダメ」なんじゃない。「選びにくい状況」があるだけなんです。
じゃあ、このまま迷い続けるしかないの?
そんなことはありません。むずかしいことは、まだ何もしなくて大丈夫。
次に棚の前で固まったら、一度だけ、心の中で言ってみてください。
「これだけあれば、迷って当然」
選ぶ前に、状況に名前をつける。それだけで、「選べない自分」を責める声が、チョッとだけ静かになります。
次の週末、みはるさんはまたドラッグストアに来ていた。
洗剤棚の前に立つ。ずらっと並んだパッケージを見て、思った。
「あ、また迷いそう」
でも、今回はチョッとだけ違った。
「これだけあれば、迷って当然。だって、こんなにあるんだから」
それだけで、棚の前のあの苦しさが、和らいだ。ずっと浅かった息が、チョッとだけ深く吸えた気がした。

何かが解決したわけじゃない。でも、自分を責めなくなった。
「私がダメなんじゃなくて、状況が大変なだけなんだ」
「知っている」だけで、チョッとだけ変わる。
そう思えたら、もう一歩前に進めます。
でも、こう思いますよね。
「理由はわかった。じゃあ、どうすればいいの?」
次は、そのヒントを一緒に見つけていきましょう。全部調べなくても大丈夫。思ったより、シンプルなやり方がありますよ。
