ドラッグストア、今度はシャンプー棚の前。

「もう、
なんでもいいや…」

🌿 Step 2

全部じゃなくていい

みはるさん、今度はシャンプー棚の前で固まっている。

シャンプー棚の前で、買い物かごを持ったまま頬に手を当てて考え込むみはるさん

「選べない理由」を知ってから、チョッとだけ気が楽になった。

洗剤は「まあ、こっちでいいか」と選べるようになった。棚の前で自分を責めることも、なくなった。

でも、シャンプーはそうもいかない。

かえでは学校の体育の後にさっぱり洗いたい。あやめは「いい香りのがいい」とこだわる。みはるさん自身も最近、髪のパサつきが気になる。

「3人分、全部調べなきゃ…」

夕飯のとき、さとるさんに聞いてみた。

「シャンプー、どれがいいと思う?」

「なんでもいいよ」

……いつもそう。でも、ふと気になった。さとるさん、自分のシャンプーだけはずっと同じのを使ってる。「なんでもいい」って言いながら、替えないんだ。

まあ、今はそれどころじゃない。

——子どもたちが寝た後。リビングでスマホを開く。「シャンプー おすすめ 家族」で検索。

出てくるのは「人気ランキングTOP30」「成分徹底比較」…タブが5つ、6つと増えていく。読めば読むほど、わからなくなる。

子どもたちが寝た後の暗いリビング。クリーム色のソファで、スマホの光に照らされて、疲れた顔で画面を見るみはるさん

1時間調べて、結局決められない。スマホを閉じて、ため息。

洗剤のときは、棚の前で止まっていた。今度は、調べてるのに、たどり着けない。頑張ってるのに報われない——それが、いちばん疲れる。

「もう、なんでもいいや…」

そんなこと、ありませんか?

もし、「調べても調べても決められない」と感じているなら、チョッとだけ、立ち止まってみてください。

疲れるのは、「全部調べよう」としているから。

かえでに合うシャンプー。あやめに合うシャンプー。自分に合うシャンプー。全員分の「いちばんいいもの」を探そうとしたら、そりゃ疲れます。

でも、考えてみてください。シャンプーって、1ヶ月か2ヶ月で使い切りますよね。一生に一度の買い物じゃない。

合わなかったら、次に替えればいいんです。

浴室の棚。残り少ないシャンプーのポンプボトルの隣に、まだ開けていない詰め替えパックが置いてある

みはるさんは、ふと思い出した。

「そういえば——洗剤も、最初から『これ!』って選べたわけじゃなかった。使ってみて、まあまあだったから続けてるだけ」

「それって、すでに『合わなかったら次』をやってたってこと?」

そうなんです。

「全部調べてから選ぶ」必要はないんです。

「ここだけ見ておけば、まあまあ大丈夫」というポイントがあれば十分。

じゃあ、どこを見ればいいのでしょう?

おすすめは、これです。

「3つだけ決める」

たとえばシャンプーなら、

  1. 誰の?(家族共用? それとも自分用?)
  2. 何を大切に?(香り? 洗い上がり? コスパ?)
  3. 形は?(ボトル? 詰め替え? トラベル用?)

この3つを決めるだけで、見るべき商品は、ぐっと減ります。

全部の情報を集めるんじゃなくて、「自分に関係あるところだけ見る」。それだけで、景色が変わります。

次の週末、みはるさんはまたドラッグストアに来ていた。

棚の前で、つぶやいてみる。

「3つだけ決める。自分用。パサつきが気になるから、しっとり系。詰め替えがあるやつ」

それだけで、視線が迷わなくなった。さっきまで全部同じに見えたパッケージが、「これは関係ない」「これは関係ある」に分かれていく。

ずらっと並ぶ棚の中で、最後に迷ったのは3つだけ。いつもなら棚の前で10分以上迷っていたのに、今日は3分で選べた。

「あれ。チョッと軽い。肩の力が抜けてる」

あやめの分も、同じようにやってみた。

「あやめは香りが大事。じゃあ、香りで3つに絞ろう」

しっとり系のシャンプーをひとつ、手に取った。

「まあ、これでいいかな」

初めて、その言葉が軽く感じられた。

帰り道、あやめが聞いてきた。

「ママ、なんでそのシャンプーにしたの?」

「しっとりするやつがよかったから」

「なんでしっとりがいいの?」

「……なんでだろうね」

答えられなかった。でも、不思議と嫌な気持ちじゃなかった。

春の週末の昼、住宅街の歩道。灰青のトートを肩に掛けたみはるさんと、ピンクのカーディガンのあやめが並んで歩き、あやめがみはるさんを見上げている

「全部じゃなくていいんだ」

合わなかったら、次に選び直せばいい。

チョッと肩の荷が下りませんか?

でも、こう思いますよね。

「3つって、何を基準に決めればいいの?」

「何を大切にしたいか」って、すぐには出てこないかもしれませんね。次は、その「自分なりの基準」を一緒に見つけていきましょう。「私はこれでいい」と言えるようになるために。

Step 3:「これでいい」の見つけ方

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