運動会の朝、レジャーシートの上。

「また、
同じ質問。」

🍃 Step 3

「これでいい」の見つけ方

みはるさんの隣には、ご近所のまみがいた。

運動会のレジャーシートに並んで座る、少し考え込んだ表情のみはるさんと、笑顔で話しかけるまみ

娘のあやめと、まみの娘のさきが同じクラス。毎年、レジャーシートを隣同士に並べて応援している。

あやめと、双子のかえで。ふたりの水筒は、この運動会に合わせて新しくした。容量と、洗いやすさと、色。3つだけ見て選んだ。「ポイントを絞る」のは、だいぶ慣れてきた。

「みはる、その水筒かわいいね。なんでそれにしたの?」

「また、同じ質問。」

この前、あやめにも聞かれた。「なんでそのシャンプーにしたの?」——あのとき、答えられなかった。水筒も、きっと同じだ。

「……なんとなく、これがいいかなって」

まみは「いいじゃん、なんとなくで」と笑った。嫌な感じじゃなかった。

でも、また「なんとなく」としか言えない自分に、チョッとだけモヤモヤする。

「選べるし、ポイントだって絞れる。でも、『なんで?』と聞かれると、言葉に詰まる」

そんなこと、ありませんか?

もし、「なんとなく」としか言えない自分にモヤモヤしているなら、チョッとだけ、考えてみてください。

「なんとなく」は、「何も考えていない」のとは違います。

  • 「この色、なんか好き」
  • 「持った感じが、しっくりくる」
  • 「前に使って、まあまあよかった」

それで、もう選べている。ただ、まだ言葉になっていないだけ。

家のキッチンの台に置かれた、新しい子ども用の水筒 2 本。ラベンダーの低いほうと、ミントの高いほう。どちらもボタンで開くふたを閉めて、立ててある

みはるさんは、ふと思い出した。

「洗剤も、『まあまあだったから続けてた』。それって、『特に不満がなかった』っていう、ちゃんとした基準で選んでたってこと?」

「さとるさんも。『なんでもいいよ』って言いながら、自分のシャンプーだけはずっと同じ。あれも『なんでもいい』じゃなくて、うまく言えないだけだったのかも」

そうなんです。

基準は、最初から完璧じゃなくていいんです。

「なんとなく」の中に、もう芽が出ています。

じゃあ、どうすれば「なんとなく」が言葉になるのでしょう?

むずかしく考えなくて大丈夫です。次に何かを選んだら、自分にひとこと聞いてみてください。

「なんで、これにしたんだろう?」

色が好きだったとか、安かったとか、友達が使ってたとか。理由は何でもいいんです。大事なのは、「自分がどう感じたか」に気づくこと。

これを続けていると、「あ、私って見た目を気にしてるんだな」「コスパより、使い心地が大事みたい」——そんな発見があるかもしれません。

運動会の帰り道。みはるさんは、まみと歩いていた。

並んで歩きながら、聞いてみた。

「まみは買い物のとき、どうやって決めてるの?」

「私もけっこう迷うよ。全部はわかんない。でも、チョッとずつ見えてくる感じかな」

まみも、全部わかってるわけじゃないんだ。それが、なんだかホッとした。

角でまみと別れて、あやめの水筒を眺めながら、つぶやいてみる。

「なんで、これにしたんだろう?」

容量と、洗いやすさと、色。色は、ラベンダー。あやめが「かわいい!」って喜ぶ顔が浮かんだ。

夕暮れの帰り道、ラベンダー色の水筒を両手で持って見つめ、少し微笑むみはるさん。先を歩くあやめの後ろ姿

「私、あやめの笑顔が見たくて、この色にしたんだ」

「胸が、じんわり温かい」

夕飯の支度をしながら、さとるさんにも聞いてみた。

「ねえ、さとるさんのシャンプー、なんであれにしてるの?」

「ん? 匂いが好きだから」

即答だった。さとるさんも、ちゃんと基準を持っていた。言葉にするのが得意じゃないだけで。

「まみも、さとるさんも。みんな、自分なりのやり方で『これでいい』を見つけてる」

なんとなく、次は選べそうな気がした。

「なんとなく」にも、理由があったんだ

「なんで?」と、自分に聞いてみる。

その繰り返しが、「自分の基準」を育てていきます。いきなり上手になる必要はありません。

ここまで来たあなたは、もう「選ぶための準備」ができています。

「じゃあ、かしこスタイルって、どういうこと?」

「準備」と「実践」は、チョッと違いますよね。次は、いよいよ、えらびのたねが大切にしている考え方、「かしこスタイル」の話。一緒に考えてみませんか?

Step 4:かしこスタイルのはじまり

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