日曜日、ホームセンター。

「これで、
かしこスタイル…
なのかな。」

🌼 Step 4

かしこスタイルのはじまり

気がつくと、家族はそれぞれの売り場に散っていた。

日曜日のホームセンター。カートを押して通路に立ち止まる、マスタード色のカーディガンのみはるさん。遠くに走っていく双子と、苗の前のさとるさん

双子のかえでは、工具コーナーへ。「ドライバーセット見てくる!」あやめはキッチン雑貨の棚で、水色のコースターを手に取っている。

さとるさんは園芸コーナーで、ハーブの苗を選んでいた。迷っている様子はない。この前聞いたときも即答だった。「匂いが好きだから」って。

「みんな、それぞれ自分の買い物をしてる」

前は「何がいいの?」と聞かれるたびに、困っていたのに。この数か月で、チョッとだけ変わったことがある。

洗剤は、「泥汚れに強いやつ」と決めて、棚の前で迷わなくなった。シャンプーは、「自分用はしっとり系」と絞って、スマホで延々と調べることが減った。水筒は、「あやめの笑顔が見たかったから」と、まみに聞かれても答えられた。

「これで、かしこスタイル…なのかな。」

さとるさんも、かえでも、あやめも。みんなそれぞれ、自分なりの「これがいい」を持っている。

でも。「みはるさんは、どうやって選んでるの?」と聞かれたら——うまく説明できる気がしない。

「選べるようにはなった。理由も、少しは言えるようになった。でも、『自分のやり方』と呼べるほどのものなのかな」

少しは選べるようになったのに、なんだか自信が持てない。そんなこと、ありませんか?

それで、いいんです。

「自分のやり方」と呼べるものが、まだなくても大丈夫。えらびのたねが「かしこスタイル」と呼んでいるのは、完璧に選べる人のことじゃありません。

ホームセンターのカートの中。ドライバーセットの箱と、水色のコースターの束と、鉢に入ったハーブの苗

カートの中に、ドライバーセットと、水色のコースターと、ハーブの苗。みんなの「これがいい」が、少しずつ集まってきた。

フードコートで一息ついていると、まみとばったり会った。娘のさきの習い事の送り迎えの合間だという。

日曜のホームセンターのフードコート。丸いテーブルで紙コップを前に、マスタード色のカーディガンのみはるさんと、生成りの半袖シャツのまみが話している。横のカートに、ドライバーセットと水色のコースターとローズマリーの苗

「みはる、最近買い物で悩まなくなったでしょ。このあいだも水筒、パッと選んでたし」

「え、そうかな…。でも、何か特別なことをしてるわけじゃないよ。まみは、どうやって選んでるの?」

まみは、少し考えてから言った。

「んー、迷ったときに『私は何を大切にしたいんだっけ?』って、チョッとだけ立ち止まるようにしてる。完璧に選べてるわけじゃないよ。でも、立ち止まれるだけで、チョッと安心するの」

「特別なことじゃなかった。迷ったら、チョッとだけ立ち止まる。まみのやり方って、それだけなんだ」

そうなんです。

かしこスタイルは、「立ち止まれる人」のこと。

  • 迷ったときに、チョッとだけ立ち止まれる人
  • 「私は何を大切にしたいんだっけ?」と、自分に問いかけられる人
  • 選んだ後も、「次はこうしてみよう」と思える人

大きな変化じゃなくていいんです。「チョッとだけかしこい選択」を、少しずつ積み重ねていく。

それが、「かしこスタイル」です。

じゃあ、どこから始めればいいのでしょう?

おすすめは、「小さく試すこと」。いきなり大きな買い物じゃなくていい。まずは、いつもの買い物で試してみてください。

「3秒だけ、立ち止まる」

やることは、たった3つ。

  1. 棚の前で、「今日は何を大切にしよう?」と自分に聞く
  2. 気になったものを、3つくらいに絞る
  3. 「まあ、これでいいかな」で選んでみる

それだけで、かしこスタイルの第一歩です。

うまくいかなくても、大丈夫。「今日はうまく選べなかったな」と思えたなら、それも立派な一歩です。

まみと別れて、みはるさんはもう一度、売り場に戻った。

キッチン用品のコーナー。食器用スポンジ。いつもなら、「なんでもいいや」で手に取るところ。

「3秒だけ、立ち止まる」

「今日は…泡立ちがよくて、手にやさしいやつがいいな」

ホームセンターの台所用品の棚の前。マスタード色の袖の手のひらに、淡い緑・淡い黄・白の食器用スポンジを 3 つ並べ、指先でひとつの柔らかさをたしかめている

3つ手に取って、握り心地をたしかめて、ひとつ選んだ。「まあ、これでいいかな」。別に、特別なことをしたわけじゃない。

帰りの車の中。後部座席で、かえでとあやめがおしゃべりしている。あやめが、ふと聞いてきた。

「ママ、今日のスポンジ、なんでそれにしたの?」

また来た、あやめの「なんで?」。シャンプーのときは、答えられなかった。でも今回は、チョッとだけ違った。

夕方の車の中。助手席から後ろを振り向いて、少し笑って答えるみはるさん。後部座席から身を乗り出すあやめと、窓の外を見るかえで。運転席のさとるさんの横顔

「泡立ちがよくて、かえでも手伝いやすそうだったから」

「完璧な理由じゃない。でも、自分の言葉で言えた」

信号待ちで、さとるさんが後ろの席の苗をちらっと振り返って、チョッとだけ笑った。あれも、さとるさんの「これがいい」だ。

「次は、何を選ぼうかな」

家に着いて、車を降りる。

「足が、チョッとだけ軽い」

迷ったら、3秒だけ立ち止まる。それが、私の『かしこスタイル』

かしこスタイルは、一日で身につくものじゃありません。

うまくいかない日があっても、また3秒。その繰り返しが、いつの間にか「かしこく暮らす」につながっていきます。

完璧な選択じゃなくていい。「チョッとだけかしこく」で、いい。

かしこスタイル、ここから始めましょう。

次は、暮らしの中へ。みはるさんが、選ぶ前に何を見ているかを、子どもの持ち物や台所道具など、分野ごとにたどります。

子どもの持ち物から見てみる

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