包みの帯に、小さな丸
駅の近くの文具売り場から帰ると、小学5年の娘のあやめは、テーブルで包みを開けて、新しい筆箱を取り出した。水色の、箱の筆箱。ふたの表には、人工皮革が張ってある。あやめは筆箱をテーブルに置いて、手を洗いに行った。
テーブルに、包みの帯が残った。みはるさんの手には、売り場であやめから返されたレシートがある。
帯には、「スーパー軽量筆入」。その横に、小さな丸い印があった。「6年間保証」。

「筆箱を、直す?」
みはるさんは、スマホで、作り手のページを開いた。
ふたが、増えていった頃
作ったのは、クツワ。1910年に大阪で文房具の卸として始まり、1965年に、自分たちで作る会社になった。
会社の歴史のページによると、1978年、クツワは、仕掛けの多い、磁石で閉める筆入を、何種類も作った。各社が4ドア、5ドアの筆入を出したころを、ページは「MG筆入ドア戦争」と呼んでいる。MGは、磁石(マグネット)のことだ。クツワの商品開発の部長は、新聞の取材に、そのころをこう話している。「各社が開発競争に明け暮れ、新商品を出すたびにどんどんふたの数が増えていき、最終的には6面ぐらいになった」。

みはるさんは、テーブルの上の、水色の1つのふたを見た。
別の新聞のサイトの記事は、仕掛けの多い筆入について「授業中の児童の集中力を奪うことが課題になった」と書いている。
1つのふた、人工皮革の表紙
1989年、クツワは、会社の歴史のページの言葉で「手にやさしく高級感のある人工皮革製筆入」として、「クラリーノ」製の筆入を出した。クラリーノは、人工皮革の名前だ。
あやめが選んだ1つも、ふたは1つ。開けると、中は上と下の2段で、鉛筆を差すホルダーが6本ある。作り手のページは「上下段合わせて鉛筆13本収納可能」「三角定規収納可能」と書く。ふたの内側には、時間割を入れる所がある。

さっきの部長は、その記事で、こうも話している。「大人が機能や品質を、使い手である子供がお気に入りの色を選び購入する事例が多く、マーケティングでは多色展開がカギになっている」。
ふだんの使い方で壊れたら、工場で直す
2020年、クツワの社長は、文具の業界紙の記事で、新入学の商談会について、「お客様に圧倒的な安心をお届けすべく」筆入の保証を始める、と話している。
作り手の保証のページは、「小学校6年間、安心して使える。」と始まる。買った日から6年のあいだ、ふだんの使い方で壊れた所は、無料で直す。作り手が保証の対象として挙げるのは、ふだんの使い方で起きた、生地のはがれや破れ、金属の部品の外れ。直せなければ、同じくらいの物と替える。直すのは「クツワの工場」で、そのあいだは、頼めば代わりの筆入を無料で貸す(色は違うことがある)。作り手に届いてから、直して送り返すまで、約1か月が目安。修理に送る送料は、自分で持つ(買ってすぐの初めからの不具合なら、作り手が持つ)。

ただし、落として壊れた物、ふたの曲がりや反り、名入れのかすれ、落書き、カッターやコンパスの傷、時間割ポケットの破れ、ふだんの使い方でできた汚れや小さな傷、磁石の所のすり減りなどは、保証の外だ、と作り手のよくある質問は書いている。
作るのは日本。作り手の店の写真の説明には、「奈良県生駒市の自社筆入工場で一貫生産」とある。
約束は、学年ではなく、買った日から6年。5年生の夏に買えば、小学校で使う残りの1年半あまりより、ずっと長い。みはるさんは、ページを閉じた。
二学期が始まった週の、夕方
二学期が始まって、最初の週。夕方、あやめはテーブルで、家の鉛筆削りで鉛筆を削っていた。削った鉛筆を、1本ずつホルダーに戻していく。ふたの内側には、あやめが貼った名前のシール。

みはるさんは、テレビ台の引き出しを開けた。取扱説明書をしまっている所だ。あの日のレシートと、包みの帯を、そこに入れた。

筆箱を選んだのは、あやめ。壊れたときのことを覚えておくのは、みはるさん。
合う家、合わない家
学校の決まりで、箱形が使えるなら、合う1つ
布や缶と決めている学校には、向きません。筆箱の選び方で見る所に当てはめると、こうなります。
- 学校の決まり:柄やキャラクターのない、ふたが1つの箱の筆箱。ふたを開けると中が見える、箱の形です。缶ではありません。プリントの決まりと合うかを見ます。
- 増える中身:鉛筆を差すホルダーが6本、上下の段で鉛筆13本、小さい三角定規(算数の授業で使う大きい物は、別に持たせることが多い)。新しい鉛筆が縦に入る長さで(外の縦は23.8cm)、15cmのものさしも長さは足ります。
- 親が覚えておくこと:壊れたときの道筋。作り手の修理です(条件は、下の「もう少し詳しく」に)。
ネットで頼むときは、作り手のページで色の写真を子どもと一緒に見て、色は本人が選びます。
合うのは、こんな家
- 学校が、箱の筆箱を勧めるか、形を決めていない家。柄や飾りのない、ふたが1つの形です。
- ふだんの使い方で壊れたら、直して使い続けたい家。直せないときは、同じくらいの物と替えます(落として壊れた物などは対象外)。
- 色は、子どもに選ばせたい家。作り手のページでは11色(2026年10月14日に確認)。
合わないのは、こんな家
- 5年生から布の筆箱も認める学校で、本人が布を選びたい家。
- 落としたり、踏んだりしやすい子の家。落として壊れた物や、ふたの曲がりは、保証の対象外です。
- ネットで頼んで、届いてから色を替えたい家。下の楽天市場の店は、色や好みでの返品・交換を受けていません。作り手の店も、開けていない物だけです。
- 値段を抑えたい家。布のペンケースより、高めの1つです。値段は、下の「買える所」に。
この1つの要点
- 品名「クラリーノ」製筆入 ライトブルー(クツワ。作り手の品番 CX303LB)
- 形ふたは1つで、磁石で閉まる。中は上下2段
- 入る物鉛筆を差すホルダー6本、上下の段で鉛筆13本、小さい三角定規
- 大きさ縦23.8cm、横9cm、厚さ3.5cm
- 直す約束買った日から6年。ふだんの使い方での破損は、無料で修理か交換(レシートか保証書が要る。修理に送る送料は自分で)。落としての破損などは対象外
この1つを買える所
広告楽天市場のシブヤ文房具。大阪の文房具店
- 注文で選ぶもの色は「パステルブルー」(品番 CX303LB。作り手の色名はライトブルー)
- 値段この店の値段は、店のページで
- 返品・交換色や好みでの返品・交換は受けない。届いた物に不具合があれば、届いてから7日以内に連絡。使った跡がある物、包みの袋をなくした・傷めた物は受けない(2026年10月14日に確認)
クツワオンライン。作り手の店(広告ではありません)
- 値段税込2,420円。送料は、税込3,980円未満のとき別(2026年10月14日に確認)
- 返品開けていない、使っていない物を、届いてから7日以内。先に店へ連絡。こちらの都合なら、返す送料は自分で(2026年10月14日に確認)
もう少し詳しく
- 素材表紙は人工皮革(クラリーノ)。中の皿と鉛筆ホルダーはプラスチック(ABSとPE)
- 重さ168g
- 色作り手のページでは11色(2026年10月14日に確認)。楽天市場の店は、ライトブルーを「パステルブルー」と書いています
- ふたの内側時間割を入れるポケット
- 作る所日本
- 保証の細かい条件この品の包装と作り手の店のページに「6年保証」とある。保証書に店の印がなくても対象。保証書やレシートがないときは、作り手が「対応を検討」する(よくある質問)。保証書がないと、有料の修理になることがある(作り手の修理のページ)。代わりの筆入の行き帰りの送料は作り手。壊れた所が対象かどうか迷ったら、作り手に聞ける(作り手の保証のページとよくある質問。2026年10月14日に確認)
- 取っておく物レシート(買った日が分かる物)。保証書が入っていれば、それも(包みに保証書が入っているかは、作り手のページに書いていない。楽天市場の店のページには「6年間保証付」とある)。レシートだけで無料になるかも書いていないので、迷ったら、買う前に作り手に聞ける。祖父母など、親でない人が買ったときは、レシートを親に渡しておく
- 安全1999年に、同じ作り手の、ボタンで鉛筆が立ち上がる型の筆入で、立ち上がった色鉛筆の芯が子どもの額に刺さる事故の記録があり、作り手は設計を変えた(製品評価技術基盤機構の事故情報)。この筆箱に、その仕掛けはない
- 困ったときクツワ 商品サービスセンター(06-6745-5611。10:00〜17:00、土・日・祝と休業日を除く)
出典
- 会社の歩み・1978年・1989年:クツワ「クツワの歴史」
- 部長の話(ふたの数):神戸新聞の記事(デイリースポーツのサイト、2019年3月)
- 集中力・部長の話(色):日刊工業新聞社「ニュースイッチ」(2022年5月)
- 社長の話:文具の業界紙「文マガ」(2020年8月)
- 保証・対象外:クツワ「クツワの6年間保証」「よくある質問」
- 事故の記録:製品評価技術基盤機構の事故情報

