選んできた日の、夜
週末に、近くのドラッグストアで選んできた日の夜。
小学5年の娘のあやめは、このごろ、子ども用のいちご味を使わずに、大人用の歯みがき粉を、からそうに、ほんの少しだけつけていた。濃さは、大人と同じにする。味は、あやめと決める。
この1本は、同じ濃さで香りが3つあり、その中から、あやめが、ミントの書き方がいちばんおだやかそうな物を選んだ。双子の兄のかえでは、いちごがなくなるまで、いちごのままでいる。
子どもたちが寝たあと、夫のさとるさんが、洗面所で歯をみがきはじめた。歯ブラシをくわえたまま、鼻を少し動かす。
「これ、変えた?」
「今日から。あやめと選んだの」
さとるさんは、それだけ聞いて、みがきつづけた。
さとるさんが寝室へ行ってから、みはるさんは、立てて置く、下半分が青いチューブを手に取った。裏の薬用成分の欄に「フッ化ナトリウム(フッ素として1450ppm)」。表には「ソフトミント」とある。医薬部外品で、裏の正式な名前(販売名)は「クリニカQc」。

スマホで、作り手のページを開いた。香りは3つ。クールミント、シトラスミント、ソフトミント。ソフトミントには、「すっきりやさしい」と書いてあった。
「やさしいって、誰に、やさしいんだろう」
香りのない、粉から
作ったのは、ライオン。社名は、1896年に売り出した歯みがき「獅子印ライオン歯磨」から来ている。
ライオンによると、最初の歯みがきは香りのない粉で、売れ行きが伸びなかった。翌年から、香料を入れた。
1981年の「クリニカライオン」は、歯垢を分解する酵素を入れた歯みがきだった、とライオンは説明している。
2010年の声と、2つの答え
ソフトミントが加わったのは、2010年。当時の業界紙(薬事日報)は、子どもを持つ使い手から「なるべく辛くない歯磨を」という声があり、それに応えた、家族みんなで使いやすい香りだ、と伝えている。2010年の「やさしい」は、子どものいる家族に向けた言葉だった。ただ、そのころの品は、今とは濃さも中身も違う。今の作り手は、ソフトミントが子どもにからくないとは書いていない。
今の濃さになったのは、2017年。その年の3月、国が、フッ素が1000ppmを超える歯みがきを初めて承認し、6歳未満への注意と濃さの表示を求めた(厚生労働省の通知)。ライオンは6月に、この歯みがきのフッ素を1450ppmにした。理由として挙げたのは、国際的な規格の上限が1500ppmであることと、予防歯科の進んだ国の例だった。
からさが苦手な子には、ライオンは、もう1つの答えを用意している。作り手のクリニカのページで「小学校・高学年~中学生向け」とする、子どもに合わせたミントの歯みがき(クリニカJr.)。作り手のQ&Aは、「甘いフルーツ香味は苦手で、大人向けは辛い」という人に、こちらを勧めている。こちらは、濃さの数字を書いていない。作り手のQ&Aでは、数字のない物は1000ppm以下だ。
みはるさんの家は、ソフトミントにした。あやめの濃さを、大人と同じにしたかった。あやめが、大人用を使いたがっていた。
10日ほど、あと
夜の洗面所。チューブの上のほうに、しわが寄ってきた。みはるさんとさとるさんとあやめの3人で、朝と夜に使っている。
あやめは、今夜も、からそうに口をすぼめる。それでも、そのままみがいている。少しの水で、1回だけゆすいだ。かえでは、まだ、いちごだ。

減りが早い。次も、この1本にするかどうかは、あやめと、もう一度決めよう。
合う家、合わない家
6歳以上の家族で使うなら、合う1本
6歳未満の子には、使用を控える濃さです。歯みがき粉の選び方で見る3つに当てはめると、こうなります。
- 濃さ:裏の薬用成分の欄に「フッ素として1450ppm」。6歳未満には使用を控えます(チューブに書いてあります)。
- 量と味:香りは3つ。ソフトミントを、作り手は「すっきりやさしい」と書いています。3つのからさを比べた作り手の説明はありません。歯みがき粉の選び方の、からくて量が減るときの3つの道では、1つめ(大人用で、「やさしい」などの言葉がある物)の候補です。ただ、作り手の言葉は「すっきりやさしい」だけで、からさの程度は書いていません。量は、歯科の4つの学会の今の目安(2023年)では、6歳から歯ブラシの毛先全体(大人の歯ブラシで1.5〜2cm)。作り手のQ&Aも、1回の量を「長さ1~2cmを目安に」としています。子どもの量は、大人が見て。寝る前を含めて1日2回。みがいたら軽くはき出し、ゆすぐなら少しの水で1回(作り手も、すすぎは1回ほどを勧めています)。
- 家族で1本:1本にまとめられるのは、いちばん年下が6歳になってから。
合うのは、こんな家
- 家族が全員6歳以上で、歯みがき粉を1本にまとめたい家。種類が1つなら、切らさないように見ておく物も1つです。
- 子どもが、大人用を使いたがっている家。大人と同じ濃さで、見た目も大人用です。
- ミントの香りを、同じ濃さの3つから選びたい家。
- ドラッグストアで、手に取って買いたい家。店で売っている品です。
合わないのは、こんな家
- 6歳未満の子がいて、家族で1本にまとめたい家。その子の分は、1000ppmを超えない950ppmなどの物を別に。この1本は、手の届かない所に置きます。
- この1本を試しても、からさで子どもの量が減ってしまう家。3つの道の2つめ(子ども向けの味で、裏に1450ppmとある物)もあります。作り手は、からさが苦手な子に、子どもに合わせた味の別の品(クリニカJr.)を勧めています。濃さの数字はなく、1000ppm以下です(作り手のQ&A)。学会の6歳からの目安(1400〜1500ppm)より低いので、選ぶときは、かかりつけの歯科で相談を。3つの道の3つめ(濃さの低い物)に近い物ですが、数字は書いてありません(フッ素が入っているかは、裏の薬用成分の欄で)。
- 大人は、強いミントがいい家。濃さをそろえて、味は2本に分けるのでもかまいません。
- 泡の少ない物や、研磨剤の少ない物を選びたい家。この品は、そうとはうたっていません(清掃剤・発泡剤が入っています)。
- 歯科医院で、勧められている物がある家。そちらを先に。
この1本の要点
- 品名クリニカアドバンテージ ハミガキ ソフトミント(ライオン)。医薬部外品・薬用ハミガキ(販売名クリニカQc)
- フッ素フッ化ナトリウム(フッ素として1450ppm)
- 大きさ立てて置くチューブ(タテ型)130g
- 使用を控える人6歳未満(子どもの手の届かない所に)
この1本を買える所
クリニカのブランドサイトの「オンラインストア」には、楽天市場(楽天24)、Amazon、LOHACOが並んでいます。ドラッグストアの店頭でも売っています。
もう少し詳しく
- 香りソフトミント。ほかにクールミント、シトラスミント(どちらも1450ppm、130g)
- もつ日数の目安3人が朝と夜に、1回約1gずつ使うと、3週間ほど(計算)
- ほかの薬用成分デキストラナーゼ(酵素)、ラウロイルサルコシンNa、ポリリン酸Na ほか
- 作る所日本
- 同じ作り手のクリニカJr. ハミガキ:小学校高学年から中学生向け。子どもに合わせたミントの香り。濃さの数字は書いていない(作り手のQ&Aでは、数字のない物は1000ppm以下)
- 使うときの注意6歳未満は使用を控える。子どもの手の届かない所に。口のまわりの傷に直接つけない。発疹などが出たら使うのをやめる。目に入ったら、こすらずに水で洗い流す。どれも、異常が残るときは、商品を持って医師に相談する(チューブの注意書き)
- 困ったときライオン、歯とお口のケアの製品の窓口(0120-556-913。9:00〜12:00、13:00〜17:00。土日祝・年末年始・夏季休暇を除く)

