買ってきた日の、夜

週末に、店で買ってきた日の夜。みはるさんは、角ハンガーを、ダイニングのテーブルに置いた。

前のピンチハンガーは、ピンチが4つ割れていた。割れてから、濡れて重い物は留めなくなって、肌着やフェイスタオルがハンガーに回り、竿がいっぱいになっていた。みはるさんは、ベランダの足元から前のピンチハンガーも持ってきて、隣に置いた。

「いくらだった?」

夫のさとるさんに聞かれて、みはるさんは答えた。さとるさんは少し黙ってから、ピンチを1つ、指で開いて閉じた。

みはるさんは、枠を上から見た。枠は、外側と内側の2重になっている。外側のピンチと内側のピンチが、同じ所に並んでいない。

夜のダイニングのテーブルに、銀色のステンレスの四角いピンチハンガーが平らに置いてある。外側と内側の2重の枠に、小さな輪でピンチが下がり、内側のピンチは外側のピンチのすき間の位置にある。隣に、前の小さな丸い水色のプラスチックのピンチハンガー。ピンチがいくつか外れて、輪だけが残っている

「どうして、ピンチの位置を、ずらしてあるんだろう」

ずらした、ピンチ

作り手は、ピンチの取り付け位置を少しずつずらしてある、と書いている。「重なることなく風通しがよくなり」。作り手の、以前の製品ページには、内側と外側のピンチの位置をずらしてある、とあった。隣どうしの洗濯物が、重ならないように。取扱店の紹介には、内側のピンチは外側より少し低い位置で吊られている、ともある(コトゴト、FavoriteStyle)。

ピンチは、ひとつずつ、小さな輪で枠につながっている。その輪の付いたピンチを、部品として1個から買える。この角ハンガー用の「リング付きピンチ」は、1個165円(税込)。部品だけの注文は、送料がかからない(2026年10月5日に確認)。

部品として買える、リング付きピンチ1個を手のひらにのせたところ。丸い輪の下に、ばねの巻きが見えるステンレスの針金のピンチがつながっている。奥に、角ハンガーの枠と、同じピンチの列

部品は、家に届く。本体を作り手に送って直してもらう修理とは、別の窓口だ。取扱説明書には、ピンチが輪から外れたとき、押し込んで戻す図も載っている。付け方で迷ったら、作り手の相談の窓口(寄り添いサポート)で聞ける。

素材は、枠もピンチも、18-8ステンレス(クロムを18%、ニッケルを8%ほど含む種類)。作り手は「紫外線劣化に強く」、ピンチは「ジーンズや厚手のものでもしっかり挟めます」と書いている。ステンレスは「さびにくい」金属で、さびないわけではない。取扱説明書も、水分や汚れでさびることがあるので、屋外に置いたままにしないように、と書いている。

燕三条の、問屋から

家事問屋を企画して売るのは、新潟県燕市の下村企販。「家事問屋」は、その会社が2015年に始めた、台所と家事の道具の名前だ。

下村グループの始まりは、隣の三条市の鍛冶屋だ(1874年)。1957年に、グループの下村工業が、ステンレスの包丁を作りはじめた。下村企販は、その問屋の部門が1973年に独立した会社で、燕三条の多くの工場の品を扱ってきた。自分たちの製造部も持っている。

燕は、戦後、ステンレスを加工する技術を生かして、家の金物づくりも盛んになった町だ。洋食器と家の金物を世界へ送り出す産地になった(中小企業金融公庫の調査)。いまも、工程ごとに専門の工場が分かれて、ひとつの品を仕上げている(燕市)。

家事問屋が掲げる言葉は、「ありきたり、なのに使いやすい。」。「家事問屋の道具は、すべて燕三条でつくられています」とも書いている。

分業の町では、小さな工場が1つやめると、作れなくなる品が出る、と家事問屋は書く。だから「たくさん売るより、長く売る」。少しずつでも、同じ工場に仕事を頼み続けたい、と。この角ハンガーも、ウェブに残る2016年の作り手のページに、今と同じ大きさで載っている。

次の、週末の朝

次の週末。週末の洗濯は、さとるさんの番だ。

さとるさんは、角ハンガーを片手に提げて、ベランダに出た。

「重いな」

真ん中のフックを竿に掛けて、隣のハンガーとは、間をあけた。

小5の娘のあやめが来て、カゴから靴下を取った。「自分でやる」。ピンチを開いて、1足ずつ、留めていく。

週末の朝のベランダ。紺の長袖のさとるさんが、銀色の四角いピンチハンガーを竿に沿う向きで掛けて、枠を支えている。灰色のスウェットのあやめが、自分の靴下をピンチに留めている。奥に、間をあけて掛けたシャツ。足元に洗濯カゴ

内側の枠の靴下は、外側の靴下と靴下の間に下がった。

竿に掛けた銀色の角ハンガーを、少し下から見たところ。外側の枠と内側の枠のピンチの位置がずれていて、内側の靴下が、外側の靴下と靴下の間に、少し奥に下がっている。靴下の間から、木と空が見える

昼前、風が出てきた。さとるさんは空を見上げた。

「強くなったら、入れとくか」

夕方、洗濯物を取り込むと、さとるさんは、角ハンガーも部屋に入れた。平日は、みはるさんがそうしている。

合う家、合わない家

風の強い日に取り込めるなら、合う1つ

真ん中の1か所で吊る形で、フックに外れ止めはありません。量は、作り手の言葉で「3〜4人分の量にちょうどいい」。洗濯ハンガーの選び方で見る3つに当てはめると、こうなります。

  • 竿の幅:竿に掛けるフックは、真ん中の1か所。竿に直角に掛けると、竿を使う幅は、奥行きの約38cm(竿に沿って掛けると約63cm)。止まっているときの幅です。風で回ると、対角の約73cmまで振れます(寸法からの計算)。両隣のハンガーは、そのぶんあけて。重い物は、左右に分けて留めます(取扱説明書「片よった荷重はかけないでください」)。
  • 掛ける所と風:1か所で吊る形で、フックに外れ止めは付いていません。取扱説明書は「強風のときは危険ですので、室内に取り入れてください」「フックが外れそうな場合は、ご使用を中止してください」。掛けられる竿の太さは、作り手のページに書いてありません。店で、家の竿の太さと比べてください。通販で買うなら、先に作り手(下村企販)に聞くと確かです。
  • ピンチの素材と、替えの部品:枠もピンチも18-8ステンレス。この角ハンガー用のリング付きピンチを、1個から買えます。部品は家に届きます(作り手の部品リスト。26ピンチと同じ部品)。
物干し竿と四角いピンチハンガーを真上から見た図。左は竿に直角に掛けたところで、竿を使う幅は約38cm。右は竿に沿って掛けたところで、竿を使う幅は約63cm
真上から見たところ。内側と外側のピンチは、位置をずらしてある(ピンチの数は省いて描いています)

合うのは、こんな家

  • 外に干すのが中心で、3〜4人分の小物が毎日ある家。作り手は「3〜4人分の量にちょうどいいです」と書いています。まとめて洗う日がある家や、5人より多い家は、1回の洗濯で留める物を数えて、ピンチの数(42)と比べてください。靴下を片方ずつ留めるなら、1足でピンチ2つです。
  • 竿の幅が限られる家。真ん中の1か所で掛けるので、竿に直角に掛けられます。
  • プラスチックのピンチが割れて、買い替えをくり返してきた家。枠もピンチもステンレス。ピンチが傷んでも、そこだけ部品で買い足せます。
  • ひとつの物を、長く使いたい家。家事問屋は、部品を売り、修理の相談も受けています(有料で、見積りのあと。直せない場合もある、と作り手は書いています)。取扱店で買った物も、修理の相談ができます(家事問屋のよくある質問)。

合わないのは、こんな家

  • 風の強いベランダや、干したまま出かけて、風の日に取り込めない家。上の「掛ける所と風」のとおりです。2か所で竿に掛ける形や、回り止めの付いた形のほうが、合うこともあります。
  • ベランダに置いたままにしたい家。取扱説明書は、屋外に置かないように、と書いています。折りたためません。作り手は、立てかけるか横にして、と書いています(立てかけても、幅は約63cm)。
  • 竿が壁や手すりに近い家。竿に直角に掛けると、竿の両側に、幅の半分の約31cmずつ出ます(竿に沿って掛けると約19cm)。
  • 干すのは1〜2人分くらい。同じ作りの「26ピンチ」(作り手は「1〜2人分」)があります。
  • 取り込みを、手早く済ませたい家。洗濯物を引っ張って外すと、リングが曲がります。ピンチを1つずつ開いて外します(取扱説明書)。
  • 毎朝、重い物を持ち上げるのがつらい。本体だけで約1.18kgあります。
  • 値段を抑えたい。みはるさんにとっても、前のピンチハンガーより、ずっと高い1つでした。値段は、下の「買える所」に店ごとに書いています。

この1つの要点

  • 型番家事問屋 角ハンガー 42ピンチ(36495)
  • 大きさと重さ幅約62.8cm、奥行き約38cm、高さ約31cm、約1.18kg
  • 素材18-8ステンレス(枠もピンチも)
  • 耐荷重全体で6kg

この1つを買える所

百貨店や台所用品の店でも扱っています。扱う品・値段・在庫は、店ごとに違います(家事問屋の「取扱店舗」のページ)。

もう少し詳しく

  • 小さいほう角ハンガー 26ピンチ(36496):約W40×D27×H30cm・約740g・税込6,600円(2026年10月5日に確認)。作り手は「1〜2人分」
  • フック真ん中の1か所。外れ止めなし。折りたためません
  • 作る所取扱説明書に「MADE IN JAPAN」
  • 部品リング付きピンチ(38239。26ピンチと共通):1個165円(税込)。部品だけの注文は送料無料(2026年10月5日に確認)
  • 使うときの注意ぶらさがらない。ストーブやコンロのそばで使わない。片寄った重さをかけない。ピンチで留めたまま、洗濯物だけを引っ張らない(リングが曲がる)。取り外すときは、ピンチを開いて。枠の両端などは手で触るとけがをするおそれがあるので、洗うときはスポンジで(取扱説明書)。ステンレスの製品に、塩素系の漂白剤は使えません(家事問屋のよくある質問)
  • 困ったとき下村企販(0256-64-5588。8:30〜17:30、土日祝を除く)。部品と修理の相談は、家事問屋のページの「寄り添いサポート」から